こんにちわ。NAOです。
当ブログは「インターネット」と「農業」の
可能性を両面から相互に考察し、
NAOとあなたの人間力を進化させ、
地球環境と調和した健やかな社会を築く
アントレプレナー・アーリーアダプター
となることを目的としたブログです。
・・・何言ってるのか分からないですね(笑)
初めてのご訪問であれば最初の記事をお読み下さると
コンセプトの分かり易い解説と自己紹介があります。
「インターネットと農業」
http://boom-nao.seesaa.net/article/319009463.html
またこの記事は、3月1日「農業は儲かる?儲からない?」からの続きです。
振り返る必要があると感じましたら、そちらもお読み下さい。
http://boom-nao.seesaa.net/article/337470589.html
さて、引っ張ってしまいました。
A「農業で稼ぐ」
@トップリバーの嶋崎氏
A農家のこせがれネットワーク
B「農業では稼げない」
B中沢新一氏が発言していた「ギフト」の思想
Cサステナ・ライフ(持続可能な生活を考える会)
(※「儲かる」⇒A 、「儲からない」⇒B
と記号を当てておきます。 )
について各論を述べていきますが、
多分長くなるので、目的を見失わないよう
気をつけていただきたいです。
あなたにとっての目的とは、
この各論から導かれるひとつの結論、
「あなた個人が強い(影響力のある)主体となるべき」
と認識することです。
4つの事例はその参考までに。
@トップリバーの嶋崎氏
菓子メーカー営業職出身の嶋崎秀樹氏は、
長野県のトップリバーという農業生産法人で
沢山の雇用と収益を生んで、注目されています。
著書『儲かる農業 「ど素人集団」の農業革命』と、
カンブリア宮殿にテレビ出演して
ビジネスマンにもメジャーとなりました。
これまで農家には馴染んでいなかった
マーケティング分析、生産工学、契約遵守、
等々ビジネスには欠かせないシステムを
導入した功績は大きいですね。
経営手法は取り立てて特殊なものでなく、
@.農協を通じた卸売市場でなく一般事業者が取引先
A.遊休農地を借り生産のコストダウンを徹底する
B.営業・販売に生産以上に重きを置く
要約するとこれですが、
もちろん多大なご苦労を超えて達成したわけです。
(長くなるので詳しくは割愛します)
既成の枠組みにエネルギッシュに立ち向かい、
業界に風穴を空けたその確固たる信念に
敬服します。
何年か前、僕が社会人になりたての頃に
あるイベントでお会いしたとき、
研修生募集のブースだったので、
僕が「●●に就職したばかりなんです〜」
と自己紹介すると、
「えっ、なんで来たの?」
って顔されました(いや、たぶん言われました笑)が、
「いえ、お話だけでもお聞かせ願えればと・・」
ということで、
30過ぎのフリーターの人(この方は就農希望者)
とご一緒させていただいて、
就農相談を隣で聞いてました。
「有機農業に関心がある」と
話を持ち出すと顔色を変え、
「有機じゃ駄目だ。日本全体への供給を賄えない」
とバッサリ切り捨てられてしまいました。
上記Aの「徹底的な生産コストダウン」
と相反すると試算しているのでしょうね。
それは現状認識として正しいです。
ただ、実はこれまで当ブログでは
はっきり表明していなかったですが、NAOは
有機農業(・・というと限定的な言葉なので、
環境保全型農業、周辺環境と調和した農業、
という方向性だとしておきます)
を志向しています。
その信念の根拠はまた近いうちに記事にします。
何はともあれ、
農業ビジネスの実践者として
トップランナーの一人に、
はっきり「有機農業は駄目」と
面と向かって言われたことは、
いろいろと考えさせられました。
A農家のこせがれネットワーク
「かっこよく、感動があって、稼げる」
3Kを掲げている、人的つながりを創造しているNPOです。
リアルの方で個人的にけっこう関わっていまして、
代表の宮治勇輔さんにはこのブログを紹介しましたが
Agri-Station FES 2013の準備で忙しい最中だったので、
読者にはなっていないかな・・
イベント後の懇親会でお話しした時
「日本の農業の復興・発展にはこせがれの
就農回帰が最も確実な道だと確信している」
という主旨の事をおっしゃっていました。
「こせがれ(農家の子息)」にフォーカスしている
コンセプトが分かりやすく、
マスメディアも積極的に活用しています。
HPもブログもメルマガも充実していて、
このブログの主テーマである
「インターネット」との融合も
このネットワークはひとつのカタチと
していると感じます。
人的つながりも
「こせがれ」だけに限定したものでなく、
多様な人材が関わっていて、
ゆるやかなつながりながらも
創造的な活動が今後もどんどん生まれることは
間違いありません。
ご注目下さい。
B中沢新一氏が発言していた「ギフト」の思想
少年期の僕はジブリファンでしたが
「風の谷のナウシカ」や「もののけ姫」
の世界観が網野善彦氏という歴史学者の
ダイナミックな日本列島観に基づいているらしいと知り、
その系統で中沢新一氏を知りました。
(網野善彦氏の甥で、色濃く思想的影響があります)
「ギフト(贈与)」の概念から紹介しますが、
ちょっと手抜きして・・
著書『純粋な自然の贈与 』からの抜粋をお読み下さい。
(3.11の義捐金に関するブログ記事から持ってきました。
http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2011/03/blog-post_3136.html )
贈与という現象にあっては、贈ったり贈られたりしたものの価値には、値段がつけられない。つまり、贈与では、ものの価値は計量化されないのだ。また贈与がおこなわれる場所では、ものや言葉の意味も、ひとつには決定されない。価値や意味をひとつに決定するよりも、贈与がおこなわれる場所では、価値や言葉の対話やキャッチボールがくりかえされ、そのくりかえしのなかから、おたがいの間の理解や信頼が生まれてくる。そのプロセスのほうがずっと大切にされているのである。(148-149ページ)
ところが、贈与では平準化したり計算したり情報化したりできないものが、伝わるのである。心の内面で動いている無意識の思考や、情緒的な感情や、平準世界を抜け出していく超越性への思いなどが、交換されるものや表現を仲立ちにして、伝達されていく。市場の外の経済行為や、芸術と宗教の領域では、等価交換はむしろ遠ざけられて、こうした贈与の原理が前面に出てくる。(258-259ページ)
こちらもリアルでお会いしたとき、
「農業におけるギフトとお金」について質問した際、
うろ覚えですが、以下のような主旨と理解しました。
************************
農産物は自然界からの人間への「ギフト」であり、
それを供給する農業者に対しては、
都市生活者が「ギフト」でもって「お返し」するのが
自然と人間のあるべき姿である。
************************
つまり、農産物生産における金銭的コストから
算出された「価格」ではなく、
神聖な仕事をしている農業生産者には
「ギフト」で支えなければいけないのです。
農業生産者への政府による税金からの
「ギフト」は何に相当するかと言うと・・・
「戸別所得補償制度」なわけです。
(都市からの)大衆的な感情や、
農業者は自立すべき!と唱えるAの立場の人からは
酷評される「戸別所得補償制度」ですが、
こう考えると見方が変わりますよね。
「戸別所得補償制度」とは違いますが、
有機農業のビッグネーム、金子美登氏も、
固定顧客は30軒だけなのですが、
(経営としてはこれで充分に持続可能のようです)
始めはまず「ギフト」として
野菜詰め合わせを提供し、
その「お礼」として金銭をいただくスタイルが
最適解として今も続いているそうです。
農業には「ギフト」の思想が欠かせない
と思わせる事例です。
Cサステナ・ライフ(持続可能な生活を考える会)
浪費社会、石油依存、資本主義経済に警鐘を鳴らす
情報発信者のつながりです。
その主張を手短にご紹介しますが
さらに手抜きして・・・画像で(笑)

(出典 http://www.blog-headline.jp/sustena/2012/12/post_74.html)
ちょっとB(農業では稼げない)とは違うのですが、
「経済成長は悪、幻、破綻する」という立場なので
ガンガン売ってこうぜ!
たくさん作って海外に出そう!
の方向のA(農業で稼ぐ)と最終的には両立しないかな、
と思いまして、ここではBとして挙げました。
近未来を大きな視点で見るには大変勉強になります。
資本主義経済自体を批判していますから、
人類がこれからの永続的に
地球で暮らしていくためには
今の世の中のままでは危険であり、
農業のように永続的に人類と共にある営みは、
その他の産業と同列に語れない、
ということです。
緑の革命以降の、
石油依存である農薬・化学肥料の
慣行農業も破綻するわけですから、
「稼ぐ」という市場経済的視野で
農業を見てはいけないのです。
じゃあどうするのか。
都市生活者も(有機)農業をやりましょう、
食料確保において自立しましょう、
もしくは
農業生産者と信頼でつながりましょう、
と帰結しています。
(短く言っちゃいましたが
伝わりましたでしょうか・・)
以上4つの事例を見てきました。
農者のあなたが、それぞれから
インスピレーションを得ていただければ幸いです。
最後に、
日和見と思われるのも不本意なので
NAOの所見も述べておきます。
農業という産業が
今の資本主義経済、貨幣社会の中で
強い力を持つかどうかは、
”予想”はできません。
(実践を試みているのが@Aですね)
・・というと正直ではないのですが、
どちらかと言うと後者Bの、
稼げない方かな、と考えています。
なぜかというと、
時間的・場所的制約の
物理的なハンディキャップがあるので、
その他の産業(特に工業、情報産業など)、もしくは
海外の大規模農場
と同じ土俵に乗せて、
効率の面で勝るのはあり得ないからです。
(あくまで理論上は)
ただし、これは信念でも確信でもないので、
この意見が正しい、と主張はしません。
また、前提条件の移ろいにも依ります。
分かりやすい仮定話では、
戦争などで海外からの食料供給ルートが断たれた時、
単純に農産物価格は高騰するでしょう。
食料は生存に必須のため
常に安定した需要が必ずあるので、
生産ノウハウと土地・道具という資産を持つ
農業者は絶対に求められる存在です。
(ただし、これも国家・政府による
差し押さえ等の統制がされれば
農業者個人が潤うとは限りません)
そんな特殊条件下でなくとも、
もちろん、ニッチというかニーズの掘り起こし等
販売手法に工夫があれば、
その他の産業とは市場が違う、という意味で
同じ土俵ではないので、Aも成立するでしょうね。
いずれにしてもNAOが主張したいのは、
農業を大切に思う「農者」のあなたは、
周囲を「農業を大切にする社会」に導ける
影響力のある主体となるべきである
・・と強引ですが結ばさせて頂きます。
次回は、
半農半Xについて復習しようかと思います。
なぜなら、「農業で稼ぐ、稼げない」の話と
強くリンクしているのはもちろんなのですが、
来たる3月23日に農力検定の受験を控え、
それの試験範囲に入っているから(笑)
http://data.blog-headline.jp/pdf/130323nouken3A4poster.pdf
当ブログを始めた頃の記事で何度も言ってますが、
このブログは5割以上、僕のためにあります(笑)
それでもちゃんとシェアできる形にしてみますので、
お楽しみに。
今回はさらに長くなってしまったのに、
最後までお読み下さりありがとうございました!
NAO
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