2016年12月31日

ミミズ腸内バクテリアの研究〜からの竹村真一氏


こんにちは。
ブリッジライターNAOです。




今回は、年の暮れの夜に書いてアップする予定なので
読んでくださる頃はとっくに年が明けているでしょうけど、

書いている時点での心境として、
タイミング的に振り返り系の記事となりす^^


前回、

・大学院時代にやっていたミミズ腸内から発見した土壌細菌の研究
・竹村真一先生と僕が出会うきっかけとなった友人Wの話
・「アウフヘーベン(止揚)」、言い換えると「大和(やまと)」


と予告していたので、だいたい従ってみます。




ちなみに、大学院のときの研究内容はコチラ

『ミミズ腸内より単離したEnterobacter aerogenesによる
 リン酸アルミニウム溶解能の解析及び機序』

https://www.facebook.com/notes/465026946917922/


こちらの研究内容の解説は、図解付きで簡易なものが
リンク先にも書いてありますが、

ここの文面でさらに大まかに説明すると、

「経験的に”土に良い”とされているミミズは
その腸内に棲むバクテリアが土壌に化学的な
作用を与えていた一例を発見・解析した」


というものです。


一般的に、理系学生の取り組む研究テーマは、

所属する大学の研究室にテキトーに配属され、
(希望通りの研究室に行けるのは成績上位者のみ。
 多くの学生は特に明確な意志があって選ぶわけでない)

その研究室の先生が取り組んでいる分野に関連した
テーマを卒論・修論として選択するのが慣習です。

でも僕は、そういうのを一切無視して選びました。


成績は上位2割くらいには位置していたので
配属希望できる研究室の選択肢は多かったけど、

研究テーマありきで始めから微生物をテーマにしたく、
それを扱える設備がある研究室、ということで
神経細胞を培養・分析しているところを希望しました。

そしてさらに自由にやるため田舎のキャンパスへ(笑)


というわけで、かなり想い入れがあるんです。


その研究は、僕としては実験の精度やデータ量が
満足いくものではなかったので、
あまり自信を持ててはいなかったのですが、

内容としては日本の大学ではあまり見られないというのもあり、
指導教官からは「特許申請を急げ」と言われたり、

田舎の小さい農業資材の会社から直接電話があって
その微生物を使った農業資材を共同開発しないか、
とオファーを受けたこともありました。

(その会社が採掘権利をもっている地層から
採れる土は「ミネグリーン」という商品名で呼ばれ、
農業資材としてそこそこ有名なことは後に知りました)


ただ、僕はそういう”応用せよ”の声よりも、


「経験的に”土に良い”とされているミミズは
その腸内に棲まわすバクテリアによって
土壌に化学的な作用を与えていた、
という一例を発見・解析した」


と、このように書いたとおりそのままで、
「自然現象の一例を見つけただけ」
という認識でした。


つまり、この自然(生態系)のひとつの現象は、
そういうことがあると知った・分析できた、
それ自体が研究として価値がある
のであって、
実用化するのは個人的にあまり興味ない

と考えていたので、


特許化も商品化ものらりくらりと生返事して、
手抜きの修士論文を準備しつつ、
就職活動や学外活動(いろいろ勉強会などに参加)に
いそしんでいたのでした。


そんな生活に突入するあたりの大学院1年生の夏、
昔からの親友W(日本人と香港人のハーフでアメリカ育ち、かなり破天荒)
にこの研究についてどう考えているか等を雑談していたら、

なぜか顔色を変えてかなり強く竹村真一先生に会うよう説得され、
当時は大手町カフェで開かれていた「地球大学」という勉強会に参加することに。
http://www.elp.or.jp/portfolio/%E5%9C%B0%E7%90%83%E5%A4%A7%E5%AD%A6/


これが竹村真一先生との出会いでした。


竹村真一先生の思想は、
このセミナーの書き起こし(1時間弱の動画もあり)で概ね把握できますよ。
http://nextwisdom.org/article/322/
takemurashinichi.jpg
(画像出典:Next Wisdom Foundation)




出会いからもう10年近く、

僕にとって竹村真一先生は、
このブログを始める源となったほどの
影響を受けた師と仰ぐ人物であり、

その後も僕個人の迷走期間(笑)がありつつも
未だに追いかけさせていただいています。


その理由は、

竹村先生と出会った当初、
僕の研究内容を先生も評価してくださったのが嬉しかった
というのもありますが、

やはり単純に、竹村先生の思想が
新鮮かつ深淵で魅了されたからです。


その思想についてたくさん紹介したいのですが、
この記事では1つだけ。


*******
都市が自然と対立し、人間や人工物が地球環境にとって破壊的な存在となってしまっていたのは、
文明が「進歩」しすぎていたからでは決してなく、
むしろ我々の技術文明と社会デザインが「未熟」すぎたからだ。

*******
『地球の目線』より抜粋。1000字の要約レビューもあります)


この主旨を初めて聞いた瞬間、
僕の中の世界観が180度ひっくり返るほどの
衝撃を受けたことを記憶しています。



僕は大学で理系に進んだように
科学自体、現象や技術に興味はありましたが、

あくまで個人の趣味嗜好のような感覚であり、
「科学は人類や地球を良くするもの」とは思っていませんでした。

それどころか、
「どうやったって資源枯渇で
人類はそう遠くない将来に滅亡するんじゃない?」


と本気で思っている厨二病の大学生でした。

(宮崎駿作品などの影響です^^;;)



しかし、竹村真一先生は、

「エコ」とか「ロハス」とか薄っぺらい言葉が流布されたような
日本の産業界や、西洋思想でよく聞く
「神とそれに従う人間が絶対の存在」vs「人間は地球にとって害悪なだけ」
という対立の構図とは、

完全に上位次元の視点に立っていたんですね。


ちなみに僕は当時まだ若く(笑)
浅はかなエコロジスト(?)だったため、
後者「人間は地球にとって害悪」側でした。


そんな厨二病の僕を、一発で目が覚めたように
志を持ち始める青年へと成長させていただいた、
大恩人なんですね。


この研究分野(農業分野における微生物の能力についての知見)
については情熱を持ちつつも、

でも僕個人の資質としては研究者の道は不向きだと考え、

「有機農業を推進しようとしている会社」
という観点で就職活動の目標を定め、
縁あって有機農産物宅配の老舗に入社したのでした。


フリーランスのライターとなった現在は、

このブログだけでなく、
いろいろな媒体で竹村真一氏という思想家(だけに限定はしないですけど)
の語り部としての役目を果たすつもりです。



〔スポンサードリンク〕
cateye.jpg



さて、竹村真一先生の思想の全体的な特徴を表すなら、

「アウフヘーベン」

だと考えるのですが、

それの詳細解説は
時間と字数的にそろそろ切り上げます・・(汗)





次回、新年では、

「アウフヘーベン」と「和(わ)」

について詳しく取り上げたいと思います。



その前に軽く触れておくと、

アウフヘーベン(止揚)」とは、
振り子のように繰り返し行き来するようにしながら上昇する
螺旋状発展”をイメージしておいてください。


一方、「」とは、
聖徳太子のかの有名な十七条の憲法の一節
和を以て貴しと為す」(わをもってたっとしとなす)
がまさに典型例の概念です。

ちなみに「禾(のぎへん)」は5本の線(※)の方向が全部バラバラで、
それをひとつの「口(くち)」でまとめる 
→それが「和」の意味(言霊)だそうです。


※一説によると、仏教・神道・道教・儒教・ユダヤ教(原始キリスト教)
 の5つの思想が混在し争いの絶えない当時の世相を、
 天才・聖徳太子が治めた偉大な功績ということです。

※「和(わ)」と「大和(やまと)」、どちらでもいいのですが、
 大和の方が、「大きくまとめて国とする」ということで
 飛鳥時代以降の日本国を意味するニュアンスがあり限定的なので、
 広い意味の「和(わ)」の方を主に使います。



それではまた!良いお年を!


ブリッジライターNAO


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posted by ブリッジライターNAO at 22:51| Comment(0) | - | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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