こんにちは。
ブリッジライターNAOです。
今回の記事タイトルは、
当ブログ『インターネットと農業』の名前にふさわしい、
「オンライン農業」
となってます。
けど、すみません、これはちょっと半ば嘘
・・・ではないんですけど、
グーグルの検索窓に「オンライン 農業」と打ち込む方が
欲している情報とは違うかもしれません。
「オンライン農業」という言葉からイメージされるものは、
楽天の『Rugri(ラグリ)』に代表される
オンライン契約栽培サービスや、
かつて2010年に、らでぃっしゅぼーや(※)が出した
農業シミュレーションモバイルゲーム『おやさい!』
(※2018年にオイシックスドット大地のグループになりましたね)
あたりかもしれませんね。
そちらについての詳細は各リンク先をご確認ください。
『おやさい!』は採算合わなかったのか、
すぐにサービス終了になってしまいましたが・・・
ちなみに個人的に応援しているオンライン農業の事例としては、
『恋するトミーファーム』という、
イケメン農家の出てくるゲームです(笑)
実際に野菜がもらえたり、リアルの交流イベントなどもありますよ^o^
さてそれでは、ここから本題なのですが、
今回の記事でのメイントピックは以下の3つとなります。
@「農×IT」
enPiT-everiオンラインカンファレンスのご報告
A「農×オンライン」
〜土と水耕〜
B勉強会お知らせ
『 スピノザと複雑系から、”いのち”を考える』
各目次の文字をクリックするとその該当箇所へ飛びますので、
ご興味あるところだけお読みいただくのでもいいですし、
このまま下にスクロールして
順に読み進められるようにも構成しています^^
.
@「農×IT」
enPiT-everiオンラインカンファレンスのご報告
先日3月4日、前回の記事でもお知らせしたのですが、
とあるオンラインイベントでファシリテーターをする機会がありました。
文部科学省の推進する教育プログラムに
「高度IT人材を育成する産学協働の実践教育ネットワーク」
「成長分野を支える情報技術人材の育成拠点の形成」
(こういういかにも官僚的な表現は苦手ですが・・^^;;)
を謳った「enPiT」というものがあり、
その中での採択事業として
「evolving + empowering + regional + industries」(地域産業の革新を促す、的な?)
→「everi」という試みが北九州市立大学を中心にして企画されました。
そのキックオフイベントとして、
enPiT - everi Future Session
〜共有と貢献から始まる次世代の地域共創〜
が開催されまして、
僕はその中の6つの分科会のうちの1つ、
D「農業と食分野での技術革新の可能性、暮らし方革命」
のファシリテーターを務めさせていただきました。
その際の動画は、参加者限定公開なので
ここに載せられないのですが・・><
ただ、セッションの前に導入として30分ほど話した際の
プレゼン資料は公開しても問題ないと思うので、
ご参考までにこちらに載せておきますね。
https://boom-nao.up.seesaa.net/image/enPit-everi20180304.pdf
(ざっと目を通せる程度の分量です)
ここでの要点をピックアップすると、
「農業とIT」と一口に言っても、
その単語だけではそもそも取り扱う概念が広すぎるので・・
まずそれぞれを整理しました。
それが以下のとおりです。
【農】つくる・はこぶ・たべる
×
【IT】 つながる・ラクする
単純にこの公式から導かれる組み合わせは
3×2で6パターンですが、
「農×IT」と聞いて、だいたいの人は
「つくる×ラクする」(例えば栽培管理のツール、植物工場など)
の事例を想起すること多いかと思われます。
でも、こうやって要素分解してみると、
例えば「はこぶ×ラクする」とか「たべる×つながる」では
どんな技術や仕組みが考えられるか?
のアイディアが出しやすくなるでしょうし、
そして、
それは実現しやすいかどうか?
すぐに実現できないとすれば何が障壁か?
も考えやすくなるでしょう。
そういう下地を作っておいて、
〜〜〜<問い>〜〜〜
昔ながらの知恵を活かした農業と急速に発達する情報技術は、
決して対立するものではなく向かう方向は同じだと考えています。
環境と調和した持続可能な農と食の実現に、
ITをどのように活用できるでしょうか?
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
と、セッションの参加者に問いかけました。
結果は・・・
まぁ、限られた時間ですし、そもそも期待はしていないですが、
いきなり「これをやれば解決だね!めでたしめでたし!」みたいな
ビッグアイディアが出るわけではありません。
参加者それぞれの経験談や立場、見聞きしてきた情報を出し合い、
なんとなく「ここが1番の問題っぽい」
と見えてきたり、
「ここは私は問題だと思っていたけど、実はそうでもなくて別の要因なんだ」
と気付けたり、
参加者それぞれの中で課題が多少は明確になった
・・と、ファイシリテーターとして、というよりは、
いち参加者として成果が得られたと思っています!^o^
.
A「農×オンライン」
〜土と水耕〜
このAでは、
「オンライン」と「オフライン(リアル)」の違いをあぶり出し、
それをヒントに農業にこじつけて(笑)、
「水耕栽培」と「(通常の)土耕栽培」
について考えてみたいと思います!
ところで、上述のオンラインカンファレンスにて、
分科会Dのセッションの時間の中でも
個人的には成果があったと思っていますが、
さらにその後、参加者とフェイスブックでつながったり、
このイベント全体の申込者で構成されたフェイスブックのグループが作られ、
そこでもディスカッションや情報のシェアなどの交流が
今でも活発に継続されてます。
これって、僕はリアルのイベントではあまり経験したことはないですね。
仕組み上は不可能ではないはずですが、
リアルイベントでの参加者はオンラインの方にわざわざ行くのが億劫、
という傾向があると思われます。
つまり、「オフライン(リアル)」でのイベントや交流は、
”お祭り”的な高揚感はあっても、
その場が終われば解散して、日常への継続性がない
という特性があるんですね。
一方、オンラインのイベントだと・・・
まぁ、これは前回の記事でも紹介したことの復習です。
インターネットと農業さんの投稿 2018年2月27日(火)
つまり、「オンライン」でのイベントや交流は、
”お祭り”であるその時が終わっても、
その後の日常で継続的に関わりが残りやすい。
という特性があります。
なお、「オンライン」だからこそ、
の強みについてより詳細に確認したい方は、
今回のイベントのプロデューサー的な位置である
田原真人さんの募集しているオンライン講座の案内ページや、
https://peraichi.com/landing_pages/view/mp4qx
『Zoomオンライン革命!』という最近のご著書も参照してみてください^^
(表紙画像をクリックすると、1分で読めるよう要約したサイト『1分で読書』に飛びます)

ちなみに、田原さんの関わる「自己組織化する株式会社」では、
「オンライン農場に創造のタネを撒く。」
という標語が掲げられていますね。笑
(・・まぁ、この場合の「農場」は実際の農産物生産のことを指しておらず
今回の記事の主旨と違いますので、ここでは詳しく取り上げませんけど。)
さて実は、いよいよここからがAの本題なのですが、
まず「オンライン」と「オフライン(リアル)」の
もっと分かりやすい違いから考えてみましょう。
それは、もちろん、
”場所”の”制約”に関してですね。
言うまでもなく、
「オンライン」は場所や物理的な空間の制約がなく、
世界中、オンライン環境にアクセスできる全ての人が、瞬時に集まれます。
しかも拘束もされないので、離脱も自由です。
「オフライン(リアル)」は、
特定の場所を用意して、その物理的な空間に入れる人数だけ、
そこに移動して来れる人だけが参加できます。
離脱が自由かどうかは設定によりますが、
一般的には、特定の空間に人が集まると空気を読んでしまい同調圧力が発生し、
途中離脱を堂々とする人は少数派ですね。
今のことは当たり前すぎて書くまでもなかったかもしれませんが、
これを踏まえ、ちょっと農業に対して相似させてみましょう。
「オンライン」は、「水耕栽培」
「オフライン」は、「土耕栽培」(つまり普通の農地)
に当てはめて考えてみます。
要は、「水耕栽培」は、”制約”を取り払われたもの
という認識です。
これの最も典型的な事例として、
「ハイポニカ農法」をご紹介しましょう。
1985年つくば万博で披露された実験で、
1本のトマトの木から1万数千個もの実を、水耕栽培によってたわわに実らせた、
というものです。

(画像は『ハイポニカの不思議』(野澤重雄著)より)
協和株式会社の野澤氏が提唱・開発したこの技術に対し、
そのビオランテ(←わかる人います?笑)のように異様なトマトの巨木にギョッとし、
「遺伝子組み換え?生命を操作して恐ろしや・・」
と反応する人も多かったそうです。
実際は、遺伝子組み替えではなく普通のトマトの品種ですし、
溶液に含ませた成分も特別なものはありません。
具体的な技術の内容をかいつまんで書くと、
根に触れさせる溶液を、
非常にゆっくりとした速度(1mm/秒)で循環させた
というものです。
「ゆっくりと」と書きましたが、
これでも実際にトマトが土に植わっている場合に
根に水分が触れる速度(3mm/日)よりは桁違いに大きな速度です。
つまり、植物を成長させるのに必須であると考えられていた
「土」でさえ、発想を転換して、
成長の”阻害要因”だと考えて、その阻害要因を取っ払い、
トマトが最も大きく成長するポテンシャルを探り当てた、
そんな研究成果なんですね。
「土」が”阻害要因”だって??
・・はい、この表現には抵抗感ありますよね。^^;;
「土」の漢字は、下の線「−」が大地、上の「+」が植物を示すという説さえあり
土と植物を切り離して考えることはできない、
というのが常識的な感覚だと思います。
もちろん、その感覚は否定されるべきものではなくて、
いろんな意味でより質の高い本物の食べ物は、
土だからこその複雑な環境要因によってしか生み出されない!
というのは実際たぶん正しいのでしょう。
(感覚的ではありますが)
まぁ、しかし、このパイポニカ農法によって、
僕たち人類が数千年のお付き合いがある農作物であっても、
それが「土」という限定条件のために覆い隠されていた
本当の姿をまだ知らなかった、
ということに気付けたわけです。
ここで「オンライン」「オフライン」の方に話を戻すと、
「やっぱリアルの場で同じ空気を吸って話し合わないとね」
「本当の交流は同じ釜の飯を食った人とだけしかできないよね」
・・という認識はたぶん間違ってはいないのでしょうが、
しかしその制約を、いったん割り切って取り除いてみれば
(=オンラインでの交流を試みてみたら)
今まで知らなかったような、
その人とのコミュニケーションによって生じる何か、
があるかもしれないということですね。
この記事では、結論というのは特にありませんけど、
オンラインの交流についても、
食わず嫌いしていたならば、その枷をちょっと外してみて、
試行錯誤してみるのもいいかもしれませんよ、
という話に落ち着くかな、と思います^^
ちなみに、Aの最後として余談ですが、
「動物」って、「植物」と違って根を張らずに移動生活していますが、
これって「腸」を持つことで可能たらしめています。
つまり、動物にとっての「腸」は、植物にとっての「土」であり、
言い換えると、動物は「土」を自らの体内に携帯していることで、
同じ場所にとどまっていなくても栄養摂取が可能となり、
自由に移動するライフスタイルを送ることができているわけです。
このあたり、話題の図書『土と内臓』(デイビット・モントゴメリー)も
また読み返して、このブログでもいずれ取り上げたいと思っています^^
(また、この動物的スタイルを「オンライン」「オフライン」で考えるとどうでしょう?
スマホとか、ウェアラブルな通信デバイスの発達・普及がこれにあたるかな?)
.
B勉強会お知らせ
『 スピノザと複雑系から、”いのち”を考える』
(追記:本講座は無事に大盛況に終わりました。
レジュメ資料はこちらになります↓^^
https://boom-nao.up.seesaa.net/image/Spinoza-complexsystem.pdf )
最後にお知らせとして、
今期はスピノザを扱ったシリーズのオイシックスドット大地での勉強会にて、
僭越ながら、僕の3回目の担当講座のご案内をいたします。
1回目は2017年5月24日
「南方熊楠から見た、今西錦司の『生物の世界』」
(配布レジュメはこちら)
https://boom-nao.up.seesaa.net/image/minakata-imanishi.pdf
(4月にこのブログで案内した文章はこちら)
http://boom-nao.seesaa.net/article/daichi.html#mokuji8
2回目は2017年10月19日
「量子論(素粒子論)×『般若心経』」
(配布レジュメはこちら)
https://boom-nao.up.seesaa.net/image/quantum-hanya.pdf
(10月にこのブログで案内した文章はこちら)
http://boom-nao.seesaa.net/article/buddhism.html#mokuji5
そして3回目は2018年3月26日
『 スピノザと複雑系から、”いのち”を考える』
です!
(追記:本講座は無事に大盛況に終わりました。
レジュメ資料はこちらになります↓^^
https://boom-nao.up.seesaa.net/image/Spinoza-complexsystem.pdf )
時間は18時半から20時半、場所は都内品川区某所、
参加費は無料、
藤田和芳さん(オイシックスドット大地の取締役会長)が
必ず出席する懇親会にも参加する場合は実費、
となっています。
ご参加希望、もしくは参加はしないけどもう少し詳細を知りたいという方は、
このブログの最下部にある登録フォームか、
こちらのリンク先からご登録お願い致します^o^/
http://bridge-writer.com/member/formadd/
あ、その勉強会のメーリングリストに載せた案内文も転載しておきますね。
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今回はあえて、冒険的なタイトルにしてみました。
「複雑系」の話題は多岐にわたっているので
テーマを絞るだけでも一苦労なのですが、
先日参加した、文科省が推進する教育プログラムの
とあるオンラインカンファレンスで、
http://bridge-writer.hatenablog.com/entry/enPiT-everi_Future_Session
(私はこの中で「農とIT」に関する分科会の
ファシリテーターを務めさせていただきました。)
このイベントをプロデュースした
かつて著名な受験物理の講師として名を馳せた田原真人さんが、
「自己組織化する株式会社」を立ち上げたり
博士課程の頃から生命論の探究者でもありますので、
http://masatotahara.com/
それを受けて「複雑系」のトピックの中でも
「いのち」にフォーカスしてみようと思います。
26日の講義では、始めに少しイベントの報告をしつつ、
・「複雑」に対して人類はどう向き合ってきたのかの歴史
・「スピノザの神」から科学界で「複雑系」がどう生じたか
・そしてそこから「いのち」の現象の発生や
・これからの時代に適した組織経営はどうなっていくか
など取り上げるつもりで準備しております。
なんだか難しそうに見えるフレーズばかりで
私も困惑してしまうのですが(笑)、
講義では聞きなれない用語を説明なしで使いはしませんし、
「複雑系」についての基本の解説がメインとなります。
そこから、近代の「機械論的」な社会から
現代の「生命論的」な社会への変容にどうつながるか
考えられたらな、と思います。
ところで、このように日々の業務と
直接関係のないことを学ぶ時間は、
お遊びと考える向きもあるかもしれません。
でも、何か根源的なことに想いを馳せる機会は、
人生をよりよく味わい深く感じ、
よりよい社会を少しでも実現する基盤となる、
そう思いながら準備させていただきます。
皆様のご参加お待ちしております!
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今回は以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございました!
それではまた〜^^/
ブリッジライターNAO
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当ブログのコンセプトと自己紹介を書いた初回記事
『インターネットと農業 とは』
http://boom-nao.seesaa.net/article/319009463.html
FBページ版インターネットと農業もあります。
インターネットと農業の可能性を広げることに関連する
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