こんにちは。
ブリッジライターNAOです。
今月のテーマは、先月の「仏教×農業」の流れから、
仏教者であり農学者(農業学校教員、農業指導員など)でもあった
宮沢賢治を特集しよう!
・・にしようかと思いましたけど、
ちょっと研究するには1ヶ月じゃ足りなかったので、
深めるのはまたいつか機会が巡れば、にします^^;
今回は宮沢賢治の活動や思想について
ガイダンスとなるようにしてみて、
そして、つい先日に偶然、
「現代版宮沢賢治とはこの人のことだ!」と思った方と会ったので、
最後の方にその人物の紹介を含めて、
久しぶりに目次なしで一気に書き下してみます!
まずは宮沢賢治についての復習といいますか、
最低限の予備知識を。
「銀貨鉄道の夜」「注文の多い料理店」などの、
色彩表現やオノマトペ(擬音語・擬態語・擬声語)が多用された童話作品を多数残した作家、
「アメニモマケズ」など、心に響く詩を残した詩人
という文学者としての宮沢賢治は、誰もが知っていると思います。
義務教育期間の中の教科書に載っていますしね。
そして、これはこのブログ読者の方ならご存知だとは思いますが、
宮沢賢治は、農業に関わりが深い人物です。
(それと、仏教も)
盛岡高等農林学校(現・岩手大学農学部)にトップで入学し、
特待生として過ごし、卒業後には助教授にも推薦されていますが、
いろいろと紆余曲折して農学校の先生になります。
(この賢治が20代半ばの頃、
東京に行って国柱会という仏教の団体に入会したり、
家族に心配をかけながら宗教的に熱心だった時期ですね)
農学校教員の4年間ほどが賢治の人生の中でも
安定していて家族を安心させていた時期で、
創作活動も活発でした。
しかし、「理想の農業」「本当の農民」を目指して
1926年、30歳の頃に
羅須地人協会という私塾?のようなものを立ち上げ、
農学校の卒業生ら近隣の若い農民を集め、
農事の相談や肥料や栽培技術の講習、芸術鑑賞会などを開催します。
「農民芸術概論綱要」という、
「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」
などの名言が、短い中にいくつも含まれた秀逸な思想を表した文章は、
羅須地人協会での講義用に作られたものです。
「農民芸術概論綱要」の原文は
青空文庫(著作権の切れている文学作品をウェブにあげているサイト)にあります。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/2386_13825.html
現代語訳はこちらのネット小説家のものが素晴らしいな、
と思いましたので紹介しておきますね。
http://ncode.syosetu.com/n8018cs/
この記事では「農民芸術概論綱要」の内容を
ちらっと抜粋しますと、
・農民は今は辛いが、昔の人はけっこう楽しくやってたし、
本当の幸福への道があるはずだ。
一緒に考えてみよう。
・商業となった芸術でなく、
我々農民ひとりひとりが生きる中で本当の芸術を取り戻そう。
・合理的に考えるだけでなく、「すごい!」と思った気持ちを大切に、
とにかく表現してみよう。
・今ここで、個人が輝けば、仲間はできる。
友達よ、一緒に進もう。やがてみんながついてくる。
こんな感じでしょうか。
でも全文はすごく味わい深く、
しかも短いのでぜひ一度読んでみてくださいね!
さて、賢治の生涯に話を戻すと、
この羅須地人協会の活動が残念ながら長続きせず、
菩薩を目指していた賢治は
病気がちなのに無理して目の前の人のために動きまくり、
病状はどんどん深刻に、
30代半ばで伏せってしまいます。
家族(特に父親)との長いわだかまりも最期には解けたのか、
やはり愛されていたことを感じつつ、
37歳で夭逝します。
死後に父や弟、東京時代の知り合いなどの手により
出版された作品が評価され、
昭和の文学界の巨星となって現代も輝き続けています。
最後にまとめますと、宮沢賢治という人物は、
文学者、ということで有名ですが、
10代から20代の宗教的な情熱を
農学・土壌学など科学の知見によって役立てようとし、
身体の限界を超えて動き続けた
宗教家・研究者・技術者・教師・芸術家でした。
詩歌などの文学作品はその溢れる情熱の一部を
ペン先に込めて吐き出したものということですね。
あ、なんだかんだで宮沢賢治について
表面的に書き下しているだけで長くなってきました(汗)
さて、このような宮沢賢治に憧れる農業者は
きっと日本中にいらっしゃるはずで、
それぞれが農業を生活の中心に据えて
様々な表現活動をしていることと思いますが、
その中でも僕の知り合いで
「まさに現代の宮沢賢治と言えるんじゃないか?」
というお方がいらっしゃったので、
最後に紹介しますね。
その人物の名は、「山崎洋子」さん。
都会で(テレビ業界で)働いていましたが、
福井県坂井市の三国町に山崎一之さんとご夫婦で入植され、
暮らしを文字通り切り開いて行き、
科学知識もどんどん取り入れ、
農業を取り巻く社会のおかしな面を見つめ、提言し
「田舎のヒロインズ」の前身となる
「田舎のヒロインわくわくネットワーク」という全国組織の
立ち上げ人でもあります。
「やまざきようこ」のペンネームで数多くの本を出版され、
その中でも自筆の絵画も合わさった
『ラーバンの森から』が特に象徴的ですので、
筆頭にあげさせていただきます。
(『1分で読書』にまとめたのはこちら
https://wp.me/p9lSyq-1l )
その他もたくさんあるのですが、
全部あげているとキリがないので、
もう一つはこちら『おけら牧場 生きものたちとの日々』をあげておきます。

(『1分で読書』にまとめたのはこちら
https://wp.me/p9lSyq-8L )
実は11月に、10年近くぶりにその山崎ご夫婦の営む
おけら牧場を訪ねたので、そのレポートを。
北陸にスイーツの名店あり。「ジェラート・カルナ」と「おけら牧場」の物語
http://colors-style.com/articles/277

自然と人間社会を調和させた暮らしを
家族とともに築きあげた上に、
鮮やかな色彩の絵画と、
農の暮らの実体験に基づく科学や社会の知見もふんだんに盛り込んだ
切れ味鋭い筆致の表現の数々。
そして全国組織の立ち上げと、その継承まで果たしています。
(旦那さんの一之さんもエネルギッシュなすごい人物ですが、
ここでは焦点がぼやけるので泣く泣く省略します・・
上記の記事に載せたリンクなどからご参照ください。)
さて、ここでは「やまざきようこ」さんをご紹介しましたが、
その他にも現代版宮沢賢治はいらっしゃるかと思います。
僕がまだ知らないだけですので、
皆さまからの情報提供もお待ちしております^o^
それでは、また来月!^^)/
ブリッジライターNAO
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http://boom-nao.seesaa.net/article/319009463.html
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