こんにちは。
ブリッジライターNAOです。
先月の記事『オンライン農業(?)』の中で、
「土」と「水耕」について述べた箇所がありましたね。
↓
「農×オンライン」〜土と水耕〜
http://boom-nao.seesaa.net/article/agriculture-online.html#mokuji2
そこでは、
「オフライン」と「オンライン」の対比のイメージとして、
「土」での(通常の)栽培と、
「水耕」栽培を比較してみたのでした。
そしてその中で、
・土は実は(植物の生長にとって)阻害要因??
・動物にとっての「腸」は、植物にとっての「土」
というのが特に印象的に感じた人が多かったように思います。
(このブログをFBページやツイッターでシェアした際の反応などから、
そう受け取れました。)
というわけで、今回の記事では
「土」の特集です!
「土」なんて、誰もがそれを知っているし、
非常に大切な存在であることは百も承知でしょう。
それでもやっぱり”地味”であることは否定しようもなく、、
中にはひどい場合、”汚い”というイメージまでも・・
そんな「土(もしくは土壌)」について、
そもそも「土」とは何なのか?
という超基本中の基本から、
土の持つ、驚異の、そして本質的な性質まで解説してみました!
(なお、「土」と「土壌」のニュアンスの違いは考慮しません。
どちらも英訳すれば「soil」です。
今回の記事の中では同じ意味として区別せず使っていきますね。)
トピックはこちら
@「土」とはそもそも何者?
A「土」のエネルギー移動
Bこんなツイッターを始めました
『土壌微生物のきほん』(農学博士・横山和成氏監修)
C勉強会お知らせ
複雑系の動的解析技術の実用化と人類の持続的生存への提言
〜土壌微生物生態系の定量評価研究の成果として〜
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それでは、いってみましょう!
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@「土」とはそもそも何者?
まず、「土」は、「地球にしかない」って知ってました?
「月の土」っていう言葉もありますけど、
あれは土ではなくて「レゴリス(regolith)」という鉱物です。
地球にあるのは「土 = soil」というものであり、
鉱物(無機物)である「粘土」と、有機物の複合体なんですね。
(とある場所で講義をしたときのホワイトボードです^^
・・・けど、ブログで見せるにはイマイチな画質なので、あくまでご参考までに)
で、学問的には、「土(土壌)」というものは、
ロシア地質学者、ドクチャーエフ(1846〜1903年)がこのように定義しました。
========
O層:オーガニック層。つまり有機物が多いところ
A層:生物(植物)の影響がみられるところ
B層:生物の影響は少ないが、A層から流れてきたものが集積するところ。A層とC層の中間
C層:土の母体となる岩石由来のところ
========
実際はすべての場所でこんなにきれいに分けられるなんてことはなく、
A層の中でA1、A2、A3・・・と小分類したり、
A層だかB層だかはっきりしないけど、境界上にはありそうなところをAB層と呼んだります。
ただ、少なくとも、「土壌学」という分野ではC層より先は扱いませんので、
「土」というものを科学的に調査するための基準を作った、ということで、
ドクチャーエフは「近代土壌学の父(創設者)」と讃えられています。
さて、土を学問上、「地球上にある粘土と有機物の複合体」と定義したところで、
次に、大変興味深い、「土の誕生」を見てみましょう!
土にはまず、基盤・母体として、「粘土」が必要なのですが、
この粘土は、岩石と(液体の)「水」によって生じます。
(そうなると、やっぱり液状の水が存在する地球でこそ、
土は誕生できたわけですね〜)
そして意外なことに、陸に土が生まれるのと、
生物が陸に上がってくるのは、「同時」です。
つまり、海と接した陸地の部分に粘土が生成され、
そこに植物が進化しつつ、定着し始めたのですね。
そのときの遺体が、微生物によって分解され、
粘土の中に有機物がだんだん蓄積してきました。
そうする中で、植物と微生物による物質の循環が起こり、
「土の誕生」となったのです!
その時代は、古生代(5,4億年前〜2,5億年前)の中の、
オルドビス紀(5〜4,4億年前)です。
あの有名なカンブリア爆発よりも後の時代なんですね〜
.
A「土」のエネルギー移動
さて、ドラマチックな「土の誕生」(と同時に「生物の上陸」も)の次は、
土の本質的な性質です。
しかも、数字にしてみたら、かなり驚異的です!
見てみましょう。
まず、これも意外に思われるかもしれませんが、
「土」と「海」を比べると、
生物の発展(多様になった、という意味)では、
土の方が圧倒的に大きいんです。
その理由としては、先に答えから書いちゃいますと、
「エネルギーの流動が激しいから」です。
「・・・海の方が動きが激しいんじゃないの?」
と思いますよね。
たしかに、水や物質の動きは海の中の方が動いているでしょうが、
土では、「エネルギー」、すなわち簡単にイメージできるのは「熱」が、
特に地表面で、激しく出入りしているんですね。
「温度勾配(距離あたりの温度の上下変化)」の観点から見ると、
土のある地表面は、地中の深い方と比較して、
なんと5000倍もの動きがあります。
しかも昼夜でその動きの方向が逆転します。
これは、太陽から降り注ぐ放射エネルギーと、
水の性質によるコラボレーションによるのですが、
とにかくこのエネルギーの大きな変化の舞台上に対応する生物は、
互いに関与し合って、複雑な生態系を発展させることとなったんですね!
土とは、そういうエネルギーが激しく動く場所だからこそ、
植物にように「動かない(位置を変えない)」生物が、
そこに根という網を張り栄養を摂取し、エネルギーをうまく出し入れして、
大発展を遂げたわけです!
最後にまとめると、
土の本質的な性質とは、
(多くの人のイメージでは「蓄積する」とか「安定している」かもしれませんが・・)
実はとてもダイナミックに「エネルギーが流動している」ということなんですね!
.
Bこんなツイッターを始めました
大学受験にも使える!『土壌微生物のきほん』
これはつい最近の思いつきで、
実験的にやってみていることなんですけど、
ツイッターでこんなアカウントを作ってみました!
Tweets by soil_microorgan
『土壌微生物のきほん』(農学博士・横山和成氏監修)という本の内容を、
僕が重要だと思った部分を引用したり、
140字以内に編集してお伝えしています。
(※監修者の事前許可をいただいてます)
ぜひ、フォローしてみてください^o^
経緯としましては、『食は国家なり!』という書籍

(『1分で読書』で要約したものはこちら
https://wp.me/p9lSyq-bX )
を今年たまたま読んだことをきっかけに、
著者である農学者の横山和成氏と
ご縁あって知り合いになることができたんですよ。
そして先日、横山先生の出した別の本
『図解でよくわかる 土壌微生物のきほん』

を読んでみて、
「あ、これは大学受験の生物科目の出題範囲でもあるから、
この農業というマイナーなテーマでも、
若い世代に広くアプローチする切り口としていいかも」
と思いまして、
10〜20代がメインユーザーであるツイッターで、
「大学受験」というキーワードを前面に出してみた次第です^^
しばらくしたらbot化して、
数ヶ月ほど様子を見てみます^^
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C勉強会お知らせ
複雑系の動的解析技術の実用化と人類の持続的生存への提言
〜土壌微生物生態系の定量評価研究の成果として〜
とある勉強会で、先月末に僕が講師を担当した
演題「スピノザと複雑系から、”いのち”を考える」も、
無事に大盛況に終わりまして、
レジュメ資料はこちらになります↓
https://boom-nao.up.seesaa.net/image/Spinoza-complexsystem.pdf
そして今回お知らせするのは、
ゲスト講師が前出の横山和成さん!
・株式会社DGCテクノロジー チーフリサーチャー
・NPO法人 生活者のための食の安心協議会 代表理事
・一般社団法人 農業高校支援機構 理事
など様々な肩書きのほか、
あの「緑提灯」の発案者のひとりでもあります。
演題は、
複雑系の動的解析技術の実用化と人類の持続的生存への提言
〜土壌微生物生態系の定量評価研究の成果として〜
時間は18時半から20時半、
場所は都内品川区某所、
参加費は無料、
藤田和芳さん(オイシックスドット大地の取締役会長)が
必ず出席する懇親会にも参加する場合は実費、
となっています。
ご参加希望、もしくは参加はしないけどもう少し詳細を知りたいという方は、
このブログの最下部にある登録フォームか、
こちらのリンク先からご登録お願い致します^o^/
↓
http://bridge-writer.com/member/cf/touroku
それではまた〜^^/
ブリッジライターNAO
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当ブログのコンセプトと自己紹介を書いた初回記事
『インターネットと農業 とは』
http://boom-nao.seesaa.net/article/319009463.html
FBページ版インターネットと農業もあります。
インターネットと農業の可能性を広げることに関連する
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